やってみる

アウトプットすべく己を導くためのブログ。その試行錯誤すらたれ流す。

Arduinoの永久保証について考える

 Arduinoはお高い。だが永久保証がある。価値について考えてみる。

 なお、この記事は個人の被害妄想に基づく考えです。正しい情報は各サイトを参照し、各自ご判断下さい。

Arduinoはお高い

 2018-10-30時点で3,240円。それならもう少し足してラズパイ3B+買うわ。と思ってしまった。

永久保証?

 とはいえArduinoには永久保証がある。その価格を思えば高くないのか? しかし「永久」などという幻想ワードがとてつもなく胡散臭いので調べてみた。

保証内容をみてみる

 以下抜粋。

保証は電子部品やArduinoの常識的な使用によって壊れた場合を範囲とします。 
その他、以下のような日常的に発生し得る事故も保証範囲とします。 
(予告無く変更されることがあります。)

◯印の付いたものは保証範囲内、✕の付いたものは保証範囲外

◯原因はわからないけど、動かなくなった。
◯普通に使ってたつもりだけどピンソケットが折れちゃった。
◯へんな所に電源をつないじゃったかも知れません。
◯気づいたら、基板の下にドライバーがあって、ショートしました。
◯ブートローダーを書き換えてしまいました。
◯コーヒーをこぼしました。
◯気づいたら錆びて動きません。ちゃんと保管してたはずなのに。
✕ドリルで穴を開けました。ノコギリで切りました。
✕防水対策をせずに、屋外に設置していました。
✕常に水がかかる場所で使っていました。
✕壊してみました。
✕ACアダプタを接続したまま、無理な力を加えました。

 電子工作をしていたらよく起こってしまうことなのかもしれない。「コーヒーをこぼしました」は電子工作でなくてもあるある。ならこの保証は大いに助かるだろう。

 夢中になって電子工作して寝落ちしたら翌朝Arduinoがヨダレまみれに……みたいなパターンも保証してくれるかもしれない。

自然災害は対象外

 ただし、自然災害により破損した場合はその限りではないのだろう。たとえば地震で落ちて割れたとか潰れたとか、台風でびしょ濡れになったとかは対象外なのだろう。

 なにせ「常識的な使用」と「日常的に発生し得る事故」が保証対象なのだから。昨今は自然災害が増えたとはいえ、「非日常的」と判断されて対象外となるのだろう。少なくとも保証の範囲に自然災害について書いていないのだから。
 大抵こういう保証はそういうものだろう。

「起こりそうな事故なのに保証しないこと」は書いてない

 記載された保証範囲例は一例でしかない。正確な保証範囲を知るには保証範囲外の例も知る必要がある。そしてサイトにかかれた保証対象外パターン例は、普通やらないようなありえないことしか書いてない。つまり「常識的な使用」から外れたパターンだ。もうひとつの「日常的に発生し得る事故」から外れたパターンが書いていない。つまり、保証しない不慮の事故パターンが書いてない。

 そのへんは臨機応変に判断するのだろう。不安は残る。

永久 ※ただし儲かる限り

  • 交換用の部品や製品が供給されなくなった時点で、保証は終了となります。

 売れなくなったり利益を見込めなくなったら製品も部品も製造しなくなり保証もされなくなる。当然だと思う。

 でも、それのどこが「永久」か。せめて自分の余生である数十年くらいは確約してくれないと永久とは思えない。けど、本当に永久保証せねばならないとなったら企業側が割に合わなすぎる。実現する道理がない。よって、ここでいう「永久」はその程度である。

 それって永久っていうの? 嘘、大げさ、紛らわしくない? いいや、そこは解釈次第でどうとでも言える。
 客にとっての永久ではなく、「企業にとって利益が見込める限り」という意味。自分たち企業が倒産したら何もかも終わりだから、たしかに企業側から見ればその期間をもって「永久」と表現できる。断じて嘘ではない。

 もし客が勝手に「客である自分にとっての永久」だと都合よく解釈しても、それは客が悪い。そんなことは一言も言ってない。保証するか・できるかは企業側が決定する。生殺与奪の権利は握られている。客は保証代金も本体と一緒に前払いしたのに。

 この辺は理解しておいたほうがいい。

送料が必要

お送りいただくもの
* Arduino Uno本体
* 永久保証シール
* 修理依頼書
* 切手

 これらを送る手間と送料が必要。ダンボールや緩衝材などもいるだろう。

 Arduinoをこっぱみじんに壊して緩衝材を不要にする? いいや、壊してしまえば保証対象外になる。仮に対応してもらえたとしても「修理」という対応になるかもしれない。あるいは壊す前の状態よりひどい中古(リファービッシュ)品との交換になるかもしれない。

 2018-10-30時点でスマートレター180円がもっとも簡単かつ安価か。防水できる緩衝材はいるし厚さも3cmまでと微妙だが。緩衝材は100円均一であるみたい。

 というわけで最低280円(税抜き)が必要。100均は税抜き価格であり100円ではない。消費税とその増税を見越し、ペンのインク代も入れて約300円と考えておこう。

返送料240円以上が必要

 修理してもらった後に送り返してもらうときの送料を切手で送らねばならない。

  • 120円切手2枚と製品を合わせてお送りください。
    ※ 120円切手2枚はArduino Uno1〜3個分の送料です。万が一、個数が多い場合は送料が異なります。その際は受付番号発行時に送料をお伝えいたしますので、その分の切手をお送りください。

 つまり送料(300円)+返送料(240円)=540円。

 保証を受けるときは別途、送料として540円の支出があると考えるべき。あと110円足せばラズパイZEROが買える。

保証内容の継続は保証しない

 ところで、保証自体が永久でないなら、保証する内容や条件、送料も変わりうるだろう。いつ値上がりするかもわからない。永久保証の条件が変わったり、保証が取りやめになる可能性すら考えられる。

 「保証はこれまで通りやるから永久保証と言える。ただし条件や保証内容は改悪した」みたいなことは十分考えられる。保証の内容まで変わらずに永久保証するとはどこにも書いていない。

 いや、こうは書いてあった。

(予告無く変更されることがあります。)

 そうそうこれ。都合のいいことばかり書いておきながら、さりげない一文ですべてを台無しにする魔法の言葉。常識的に考えれば当然であり自然なのでなんの疑問もない。ただここを強調せず「永久」という欺瞞に満ちたパワーワードを目立たせて幻想を抱かせようとする見せ方に問題があるだけ。

保証は1回のみ(保証シール)

お送りいただくもの
* Arduino Uno本体
* 永久保証シール
* 修理依頼書
* 切手

 永久保証シールとやらが必要らしい。そして、1度保証してもらったあとのことについては書いていない。つまり「保証は1度きり」ということだろう。なぜかこういう表現では書いていない。理由も言い訳までも想像できる。

 ええっ!? 「永久保証」なんだから壊れたらずっと何度でも修理してくれるんじゃないの? などと甘えた期待を持てば裏切られる。そんなことはどこにも書いていない。

 あと、保証シールをなくしてしまったら終了。ずっと管理し続けねばならない管理コストが生じてしまう。保証される保証などないのに。もはや負債。

保証=修理 or リファービッシュ品交換

 保証は新品に交換してくれることだと思った? 残念でした。

  • 修理か交換かの選択は当社で行います。
  • 交換の場合、新品に交換されるとは限りません。整備済み製品に交換する場合があります。

 「整備済み製品」とは、いわゆるリファービッシュ品というやつだろうか。初期不良や中古機器などを調整したものだ。間違いなく正常な新品よりも低品質低寿命である。粗悪品をつかまされるケースもある。

 というか、私はリファービッシュ品で粗悪品を掴まされた経験がある。そのときの対応もアレだったのでそれ以来その店には二度と行っていない。以来、どの店だろうがリファービッシュ品と称したものはいくら安くても手を出さないと心に決めている。
 そんな体験があるので品質において信用できない。さらに保証は1回のみ。その1回が粗悪品だったら保証でも何でもない。そして保証はその1回のみ。以降の対応はないのだろう。手間をかけ送料を支払った結果、ゴミを送りつけられるだけの行為に、購入時に金を前払いする。そしてゴミを処分するのにもまたお金がかかる。これが保証の実態だというなら、私はそんなものいらない。

 という悪意ある解釈もできる。

裏付け

 「交換」という言葉を散りばめているが、送付する文書も「修理依頼書」である。「修理」であって「交換」ではない。ならば交換したとしても、交換された品は「修理された品」と考えることで筋が通る。つまり初期不良や中古などを調整した「リファービッシュ品との交換」である。よって保証とは「2台目の新品プレゼント」ではないと考えられる。

 そして「交換の場合、新品に交換されるとは限りません。整備済み製品に交換する場合があります」の一文である。つまり保証内容は最高でも「リファービッシュ品との交換」だろう。

保証を受けるのが面倒くさい

 あれこれ用意し、手間暇かけるのが面倒。これならもう一度、新品を買ったほうがマシ。

 そう思わないだろうか。だとすると、保証分の代金はドブに捨てることになる。つまり、損をしたくないなら手間暇をかけることを強いられるのだ。だったら最初から「保証などいらないからその分安くしてくれ!」と思う。Arduinoを購入するときはその選択の自由がない。保証などという幻想との抱合せ商法。

保証シールは余分な前払い

 保証シールはなくす可能性もある。なくさぬよう管理する手間が生じる。
 保証シールは使わない、使えない可能性がある。使うためには壊れたArduinoと送料540円が必要。
 保証シールは価格に入っているだろう。そしてそれは無駄になる可能性が高い。ようするに、使うか使えるかもわからないのに修理代金を強制的に先払いさせられるということだ。それが「永久保証」と称したものの正体である。

 必要なときに必要な分だけの代金を支払いたいものだ。そうすれば余計な購入代金も送料も管理する手間もかからないのに。こんな「保証」とやらは嬉しいものか? 枷にしか思えない。本来は負わずに済む負債だとさえ言える。

 保証は権利のはずだが、選択の余地なく、その代金を先払いせざるを得ないことを思えば、負債と言ったほうがしっくりくる。もう保証なんて要らない。

価格の内訳

 1台で3,240円と考えるから高い。2台目の料金を前払いしたと考えればどうだろう?

  • 3,240円
    • 本体: 1,620円
    • 永久保証シール: 1,620円

そして二台目の入手は「永久保証シール(1,620円分)+送料(540円分)=2,160円」と考えてみる。これなら1台1,620円と言える。(ラズパイZEROは650円なので、それでも高いと感じてしまうが)

 だが、仮にそう考えたとして、先述までのアレコレにより、保証シールの価値は新品Arduino1台分未満であることは明らか。

  • 3,240円
    • 本体: 2,240円
    • 永久保証シール: 1,000円

 適当に考えてこのくらいか? そして保証を受けるときはさらに送料540円を追加せねばならない。さらに保証を受けるその日まで保証シールをなくさず大切に保管し続ける管理コストがかかる。前払いした保証分を取り戻そうとしたら、以下の費用がかかる。

  • 3,240円+540円+手間=3,780円+手間

 これで得られる成果物は以下。

 保証を受けるのが面倒なら単純。Arduino一台を3,240円で買ったというだけだ。

 これに納得できれば購入するとよい。

所感

 お高い感が拭えない。ラズパイのコスパが優れているとも言える。

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