最新OSのDebian 12 bookwormを源流とするラズパイOSに更新した。
動機
Chrome v92が古すぎて閲覧できないサイトが増えてきたので更新することにした。
OS更新は作業が大変だから避けてきたが、重い腰を上げた次第。
ハードウェア
- Raspberry PI 4B 8GB
- 電源3A/5V(USB-C)
- HDDケース(Salcar USB3 2.5インチ 9.5mm/7mm厚 SATAⅠ/Ⅱ/Ⅲ アルミ製)
- SSD(NEO N400 K240GSSDS3-N40EC)
- インターネット接続環境
ラズパイ本体
2023年にラズパイ5が販売されたが、4Bを使っている。
2021-07-17、アマゾンにて8GBが9800円。 今では円安により4GBで9700円という有様。もう一台買っとけば良かった。
2019年10月に予約購入した4GBは6600円で買ったのに。
電源
電源が貧弱だと低電圧アラートによって機能しなくなるため重要なハード。
電圧
電源は5V。公式は5.1V、できれば5.25Vがいい。
電流
電流は3A。ラズパイ5は5Aが事実上必須。それはラズパイ4にも流用可能らしい。
ディスク
OSをインストールするディスク選びも大事。
もしSSDでなく2.5インチHDDを使うなら、消費電力が多くて低電圧になり使えない可能性が高い。そのときは外部給電できるHDDケースを購入すると良い。
HDDケース相性問題
今回使用するHDDケースで相性問題が発生した。
SSD SATA 240GBとケースを買ったが、以下の措置が必要。さもなくばブートしない。今回最新版へ更新するときも必要だった。
(尚、それに気づかず大変な目にあった。ブートしなくて再起動したりOSを焼き直したり別のHDDケースとSSDを入れ替えたりして成功するパターンを探すという地獄の作業を味わい丸一日が潰れた)
このようにハードウェア相性問題があり、情報収集とブート設定ファイル編集といった作業も必要になる。到底覚えきれないため、今回のようにメモした次第。
OS情報
RPI-OSで最新OS情報を入手できる。
時期 | 日付 | 開発コード |
---|---|---|
更新前 | 2020-08-20 | buster |
更新後 | 2025-05-13 | bookworm |
作業日は2025-07-29。この記事の執筆日は2025-07-31。
私がインストールしていたのは2020年版と5年前のものだ。これを最新の2025年版にする。
OS開発コードは情報収集するときキーになる。
bookworm
Raspberry PI OSはLinuxのディストリビューションDebianをベースにしている。今回の最新版はDebian 12 bookworm。
ただこの最新OS、以前のツールが同じように使えない。原因はコンポジタがX11からwaylandに変更されたから。設定で元に戻せるのだが、それはそれで別の問題が起きた。bookwormは未だ不安定なので、古いOSをインストールしたディスクはそのまま残しておいたほうが良いだろう。
以上の点をふまえて最新OSをインストールする。
64bit
32/64 bitの二種類ある。それぞれの環境でしか動作しないアプリがあったりする。時代の流れ的には64bitなので今回は64bitを選ぶ。
手順
1. 最新OSをSSDに書き込む
1-1. SSD接続
- ラズパイをブートする
- 書き込みたいSSDをラズパイのUSB3に接続する
(ラズパイをブートするのにもUSB3接続SSDを使用しているため二台SSDがある状態)
次の点に注意すること。
- USB3に接続すること(青い口。USB2(黒い口)だと遅すぎる)
- 低電圧モードでないこと
- HDDだと電圧不足で落ちる
- 外部給電HDDケース購入で対処
- ブート後にUSB接続すること
- もし既にOSがインストールされているSSDを書き込み対象にするとき、ブート時USBに刺さっていると、そっちでブートしようとしてしまうため
1-2. インストーラをインストールする
OSをインストールするためのアプリRaspberry Pi Imagerをインストールする。
端末で以下コマンドを入力する。
sudo apt install rpi-imager
ディスクにOSを焼く
Raspberry Pi Imagerを起動する。端末で以下コマンドを入力する。
rpi-imager
OS
とストレージ
を選ぶ。今回は64bit版。2025-05-13が最新版なのでそれを。Desktop版。
歯車⚙アイコンを押して「詳細の設定」をする。
WIFI設定は端末で以下コマンド入力すると確認できる。もし上記画面で上手く設定できていなければ、あとでこのファイルをコピペすることになるだろう。
cat /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
尚、私は結局、WiFiのパスワードを紙に書いて、ブート後のデスクトップ画面タスクバーにあるWiFiアイコンから出したUIへ入力することで設定できた。
書き込む
ボタンが押せるようになっているので押す。
確認ダイアログが出るのではい
を押す。
書き込み中。進捗率やキャンセルボタンが押せる。
確認中。なにそれ? 書き込みが完了しても終わらないのは詐欺では?
完了。
1-3. ブート設定ファイル編集
ラズパイ4がUSBブートしない 原因はHDDケースのコントロールチップだった(JMicron JMS567) 問題への対処。
/boot/firmware/cmdline.txt
の末尾にusb-storage.quirks=152d:0578:u
を追記する。
sudo mousepad /boot/firmware/cmdline.txt
/boot/firmware/cmdline.txt
console=tty1 root=PARTUUID=6a904b55-02 rootfstype=ext4 fsck.repair=yes rootwait quiet splash plymouth.ignore-serial-consoles cfg80211.ieee80211_regdom=JP usb-storage.quirks=152d:0578:u
尚、上記を丸ごとコピーするとブートしなくなる。環境ごとに適した値をセットすべき。今回はあくまで末尾のusb-storage.quirks=152d:0578:u
を追記するだけに留めること。
補足
下記URL先の記述とはファイルパスが微妙に変わっている。
以下のように従来のパスを参照しようとすると、親切にもパスが変更されたことをメッセージ出力してくれた。このおかげでパスが変更されていたことを知った。
$ cat /boot/cmdline.txt DO NOT EDIT THIS FILE The file you are looking for has moved to /boot/firmware/cmdline.txt
2. 最低限の設定
2-1. ブート確認
実際にブートすることを確認する。成功すればデスクトップ画面が表示されるはず。
初回はやや時間がかかるものの3分もあれば起動するはず。それ以上待ってもブートせず、ラズパイのアイコンがデカデカと出ている画面でフリーズしたり、黒くて小さな英字まみれの画面でフリーズしたりすると、ブートに失敗している。
ブートに失敗したときに考えられる可能性は以下。
- ハードウェア構成に問題がある
- ブート設定に問題がある
これを調査するのが死ぬほど大変。今回は以下問題への対処としてブート設定が必要だった。
2-2. WiFi設定
(私の場合はImagerの詳細設定にパスワードを入力しても設定されなかった)
2-3. システム更新
端末(ターミナル)を起動して以下コマンドを実行する。
sudo apt update
sudo apt full-upgrade -y
sudo reboot
尚、-y
フラグをつけても途中で入力を求められ処理が中断された。意味ないじゃん……。放置できないじゃん……。
所感
順調にいけば一時間で終わると思う。私は相性問題で丸一日かかったけど。
OSをディスクに焼くだけなら簡単。
でも本番はここから。じつはこれだけでは全然設定できていない。
特にロケール設定なんて全然反映されていない。(なんのために設定したんだよ)
日本語入力IMEはあとでインストールしなくちゃいけない。さらにコンポジタがwaylandに変更されたせいで、openboxが使えなかったり、これまで当たり前のように使っていたホットキーがまったく効かなくて大変。ALT+TABは使いづらいし、Win+Dによるデスクトップ表示やALT+SPACE, Xによる最大化は存在しない。嘘だろ……劣化してるじゃん。
これまで通りの設定も必要。WIFI設定、ロケール設定、フォントやツールのダウンロード、RAMディスク作成、Chromeのプロファイルコピー、Webサービスのログイン確認とパスワードをブラウザに記憶させる、ツールのインストール、自作スクリプトのコピー&動作確認など、やることが山積み。
これだからOS更新を避けてきたんだよなぁ。ああ大変だ。
でも楽しみ。waylandの画面エフェクトがカッコいい。苦楽は共にあるものだ。